アアルト+イタリア

フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトはイタリアを愛して止まなかった。と聞いた事があります。とても自然を愛する北欧の人達にとっては、長い冬も短い夏同様に美しくそして楽しい季節だそうです。それぞれの四季を楽しむ感覚は独特の物を持っているに違いありません。(イタリア人は夏が来るのをじっと待ちます… 。) アアルトがイタリアに来て地中海の強烈な太陽を受け、別の感性が芽生えたとしても不思議はありません。そんな体験が彼をイタリアの虜にしたのでしょうか。

イタリアに存在する唯一の彼の作品がボローニャの近く、リオラ・ディ・ヴェルガト (Riola di Vergato) と言う小さな村にあります。教会を中心としたこの教区の施設の設計です。どのような経緯で北欧の建築家にこの仕事の依頼があったかは分かりませんが、フィンランドでは幾つかの教会を設計しているので、そのつながりだったのでしょう。

街から少し離れた教会を取り囲む環境は、北側に流れる川を挟む山並みに呼応するかのように建っています。鐘楼のある広場から観るファサードは断面形体をそのまま表現し、仕上げはウオームグレーの石張のシンプルなもの。北側の天窓の切り欠きと、広場と一体になるように設けられた横長の開口部が特徴となります。

内部は北側の天窓からの採光によって安定した自然光に満たされる。第一印象は白一色の柔らかい光に包まれる不思議な感覚。地中海の太陽が霧のように降る空間はアアルトの計算なのでしょう。イタリアの街は光と陰の劇的な演出が仕組まれていますが、この柔らかな光の演出に彼の光に対する独特のセンスを感じます。
そしてテラコッタの床や、白い大理石、荒い仕上げの漆喰壁、木製の造作家具や、真鍮の取手に触れながらアアルトの空間を楽しむ事が出来ます。

このリオラ教区教会は彼の遺作となり竣工は彼の死後 (1976年) だそうです。新婚旅行をイタリアで過ごしたと言うアアルト夫妻、彼にとって何かと思い入れのあったプロジェクトに違いありません。

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