フランコ・ポーリ 講演会
フランコ・ポーリ氏の講演会に行ってきました。テーマは “IL DISEGNO DEL DESIGNER” (デザイナーのデザイン)サブタイトルは「素晴らしきアイデア表現の様相に関するメモ」。イタリア皮革製品の老舗 “Matteograssi” の後援と言うことで、同社のプロダクトを軸にしたお話でした。ポーリ氏と “Matteograssi” の最初のプロジェクトは1993年に完成した椅子 “Fullerina” から始まります。ポーリ氏はおもむろに2脚の椅子 “Fullerina” と “Loom” を演台に持ち込んで講演が始まりました。
外国での講演も多いらしく、イタリア語で話が出来るので「リラックスしてます。」と嬉しそうです。まずは “Fullerina” のストーリーから。当時、軽量の椅子に興味を抱いていた彼は、名前から察する通りバックミンスター・フラーのジオデジックから発想を得ます。力学的に優れた三角形で構成された四面体をベース構造とし、座面に皮を使用した木製椅子のデザインを提案。
ジオ・ポンティの “Super leggero” と比較して材料、構造上の違いや、デザインプロセスなどをスケッチと実物で説明してくれましたが、ここに関しては、何やら講演会と言うよりはデザインコースの授業のようになってきて、ちょっと物足りなかったのが本音です。さて完成品はどうでしょう。手に取ってみると「オッ」と驚く軽さは “Super leggero” 以上のインパクトがあり軽量化は成功しています。そして、強度も十分と思われ、明快なコンセプトを美しく表現た好例だと思いました。
そして話題は変わり、椅子 “Aretè” (写真)と “Loom” のデザインストーリーへ。ここでは皮で色々と実験したの模様をスライドを交えて語ってくれました。数々のプロトタイプの写真、現場の話は楽しいですね。最終的に皮に切り込みパターンを入れ網状にして造形するアイデアで勝負することに。
特徴は、切り込みパターンとフレームの形状でとても自由なデザインが可能。そして、網状にすることで穴が増えて材料が少なくて済む。これは製造者に取っては非常に有益。しかし「穴は経済的な理由だけではありません。」とポーリ氏。この穴はデザイン、構造上はゼロではなく、材料の皮と同様にデザインのコンテクストに参加し、経済的な価値を持つ素材と同等の価値を持ち合わせていることを強調。「オリエンタルな思想です。」と、クライアントの要求とデザイナーの思索の成果両立にとても満足な様子でした。
私 ”Matteograssi” の皮革製椅子をいろいろ試し、高級な皮の匂いに酔い、1時間ほどの短い講演会でしたが楽しい時間を過ごせました。お土産は ”Matteograssi” から超極太の芯に皮を螺旋状に巻いた鉛筆でした。
以下、ポーリ氏からのメッセージ
しかし世界は変わってしまったものだ、そしてとても愛おしいイタリアも皮を脱ぎ捨て…そして郷愁の苦しみにとても興味深い私がいる…そして私も皮を脱ぎ捨てた、ロットリングペンとの長い格闘の末、そしてインクで汚れた指、擦れて黒光りした袖口、製図板の角度で思い知らされる膝の痛み、デザインすることは線を引くことから他のことへ容認を強いられることだった、そのことは最初から知らなかった訳ではない、しかし、デザインすることは最後に私自身の喜びへと変わってゆく。美しきテーブル、美しき陰影、ジャーマン・ペーパー… 実に美しい、しかし、本当に大切なのはコンセプト…「結果」だ。
計画の場は思考である、デザインは検証とコミュニケーションの仕組み… でもほかの方法だってあるじゃないか!
フランコ・ポーリ
